円形脱毛症の治療薬や治療方法
ステロイド外用薬
ステロイド外用薬は様々な皮膚疾患の治療に使われている副腎皮質ホルモン物質が含まれた塗り薬です。皮膚の炎症を抑えたり免疫力を抑制したりする作用があります。
円形脱毛症の治療にも実績があり、ほとんどの患者に使用される治療薬であると考えて差し支えありません。ステロイドと言われると拒否反応を示す人も多くいると思いますが、医師の指示通りに用法用量をしっかり守って使用すれば、安全でとても効果的な外用薬です。円形脱毛症診療ガイドラインにおいても最も推奨度が高く確かな効果が認められている治療法とされており、単発型の円形脱毛症ではファーストチョイスの治療方法です。
グリチルリチン酸内服薬(グリチルリチン、グリシン、メチオニン配合内服薬)
使用実績が多く安全性がとても高い内服薬です。グリチルリチン酸はカンゾウ(甘草)という漢方薬に含まれる生薬由来の成分です。抗炎症作用、抗アレルギー作用、免疫を調節する働きがあるとされています。直接的な発毛効果に関しては残念ながら確固たるデータはないようです。
セファランチン内服薬
タマサキツヅラフジから抽出されたエキスに含まれるセファランチンという成分からつくられた内服薬です。抗アレルギー作用や血液幹細胞を増加させる作用、免疫系へ働きかける作用があるとされています。円形脱毛症に対する効果を評価したテスト結果は無いものの、内服によって発毛効果が認められるとする報告や診療実績の多さに裏付けられた治療方法で、他の治療と併称されることが多い治療法です。
局所免疫療法
特殊な薬剤を使用してわざと皮膚をかぶれさせ、脱毛を引き起こしていると考えられる免疫の働きをコントロールすることで発毛をうながす治療方法です。高い発毛実績がある治療方法として、円形脱毛症診療ガイドラインでも最も推奨度が高い治療方法の一つとされています。
円形脱毛部をかぶれさせる薬剤はSADBEやDPCPといういわゆる薬ではない試薬が使用されます。この薬品をはじめは1、2週間に1度、その後は3〜4週間に一度、発毛に最適な弱いかぶれ具合が継続するように薬品の濃度を調整しながらくりかえし円形脱毛部位に塗り付けます。この治療を継続して半年以上行えば60%以上の方で発毛効果が出るといわれている現在最も効果的な円形脱毛症の治療方法です。
円形脱毛症が長期化している場合や脱毛範囲が広い多発型、全頭脱毛症、汎発性脱毛症に行われることが多く、子供に対しても行うことができる非常に効果的な治療方法です。ただし治療をやめると円形脱毛症が再発する事があり治療が長期に及ぶ事もあります。
治療に使用する薬剤は試薬であり薬として扱えないため保険は適用されず、また全ての病院で治療が受けられるわけではありません。アトピーなどの症状に影響が出ることもありますので、費用や副作用については治療開始前に医師から十分な説明を受けるようにしてください。
冷却療法
冷却した液体窒素または二酸化炭素を脱毛部分にあてて冷やすという治療方法です。副作用の心配が少なく脱毛の範囲を縮小させることができる可能性がある治療です。副作用の報告がほとんどなく安全性が高い治療方法ですが、発毛の根拠は十分に実証されているとは言い切れない治療方法です。また保険適用外の治療方法であることにも注意が必要です。
ステロイド局所注射
脱毛部位にステロイド剤を直接注射する治療方法です。注射は相当に痛いですが、かなり高い確率で発毛した実績がある治療方法です。頭部だけでなく眉毛の円形脱毛に対しても注射する事が出来ます。副作用として注射した部分が陥没することがある、効果が出る範囲が狭い、副作用が強くでる可能性がある子供には使えないなどの問題もありますが、成人に対してはその高い治療効果から、円形脱毛症診療ガイドラインでは最も推奨度が高い治療方法とされています。
ステロイド内服薬
ステロイド内服薬は副腎皮質ホルモンを含む薬です。免疫機能やアレルギー症状による炎症などに対して非常に効果的に作用し、円形脱毛症に対してかなり高い発毛実績が認められている治療方法です。継続的に使用すると強い副作用がでる可能性が高く、服薬を中断すると脱毛が再発する事が多いのが難点です。副作用が強いためステロイド内服治療はくりかえし行う事ができないので、再発した場合は他の治療方法に切り替えます。
発症後半年以内で脱毛が急速に進行している大人に対して限定的に使われることが多く、副作用の影響が大きい子供には使われない治療方法です。
- 円形脱毛症の原因
- 円形脱毛症の症状
- 円形脱毛症の治療のながれ
- 円形脱毛症の治療薬や治療方法(この記事)
- 円形脱毛症とウィッグ